業務委託契約書翻訳者

翻訳契約書の「二次的著作物と機械翻訳」を、AIが見逃さない

産業翻訳・字幕翻訳・出版翻訳の業務委託契約書を貼り付けるだけで、翻訳者が損しやすい二次的著作物の権利・機械翻訳併用・訳抜け責任の条項をAIが瞬時に抽出します。弁護士相談の前の一次スクリーニングとしてご活用ください。

ご注意: このページの情報は弁護士によるレビューではありません。 一次スクリーニングとしての参考情報であり、法的アドバイスを構成するものではありません。

この契約書をレビュー

こんなお悩み、ありませんか?

機械翻訳+ポストエディットの案件が増え、自分の著作権や単価が守られるか不安

納品後に訳抜け・誤訳が指摘され、無限に修正対応を求められる

翻訳メモリ・用語集を蓄積しているが、発注者の資産とされて利用制限されそう

翻訳者業務委託契約書で特に重要な5条項

契約書レビュー時に必ずチェックすべきポイントを解説します。

1

翻訳成果物の著作権(二次的著作物)の帰属

翻訳文は原著作物の二次的著作物として、翻訳者に独自の著作権(著作権法第2条1項11号)が発生します。『翻訳した一切の著作権を発注者に譲渡』と書かれていると、二次的著作物の権利まで譲渡されます。特に出版翻訳・字幕翻訳ではこの権利が翻訳者の実績と収入に直結するため、範囲限定の交渉が重要です。

注意すべき表現

  • !『翻訳成果物の一切の著作権を譲渡』のみで翻案権・再利用の扱いが不明確
  • !出版翻訳で印税型でなく買い取り型なのに著作権全譲渡
  • !受注者の翻訳スタイル・固有表現まで譲渡対象

望ましい表現例

受注者は、検収完了および委託料の支払い完了を条件として、本件翻訳文(二次的著作物としての著作権)を発注者に譲渡する。ただし、受注者が本契約以前から保有する翻訳メモリ・用語集・スタイルガイドに関する権利は受注者に留保する。出版翻訳の場合、別途印税率・増刷時の追加報酬を定めるものとする。
2

機械翻訳・生成AI併用の可否と単価調整

DeepL・Google翻訳・ChatGPTを活用したポストエディット案件が急増しており、単価の下落と品質責任のあり方が問題化しています。機械翻訳併用の可否・開示義務・単価体系(原文ベース/成果物ベース/時給ベース)を明確化すべきです。『ポストエディット単価で全訳の品質責任』という不公平な構造も要警戒です。

注意すべき表現

  • !機械翻訳・生成AI使用の可否が契約書で未規定
  • !ポストエディット単価なのに全訳と同等の品質責任を負わせる
  • !発注者側が機械翻訳を使用したことの開示がなく、受注者に修正のみ依頼

望ましい表現例

本件業務の区分は以下のいずれかとする:(A)通常翻訳(単価:原文○円/文字)、(B)機械翻訳ポストエディット(単価:原文○円/文字、事前翻訳を発注者が提供)、(C)ライトポストエディット(単価:原文○円/文字、可読性修正のみ)。受注者が機械翻訳・生成AIを補助的に使用する場合は、事前に発注者に開示する。
3

訳抜け・誤訳の責任範囲と修正対応期間

翻訳は解釈の幅があり、『誤訳』と『訳の選択』の線引きは難しい領域です。契約書に『誤訳があれば全額返金』『無期限に修正対応』のような条項が入ると、受注者側が際限なくリスクを負うことになります。品質基準・修正期限・賠償額上限の明記が必要です。

注意すべき表現

  • !『誤訳・訳抜けがあれば全額返金』
  • !修正対応期間が無期限または『指摘があり次第いつでも対応』
  • !誤訳による損害の逸失利益まで賠償対象

望ましい表現例

受注者は、納品後30日以内に発注者から指摘される明白な誤訳・訳抜けについて、無償で修正する。期間経過後の修正対応は有償とする。品質基準は『意味の正確な伝達、自然な日本語(または対象言語)表現』とし、スタイル・訳語選択の差異は誤訳とみなさない。受注者の賠償額は、本件委託料を上限とする。
4

翻訳メモリ・用語集の帰属とクロスクライアント利用

翻訳者は長年かけて翻訳メモリ(TM)・用語集(TB)を蓄積し、これが業務効率の核となります。発注者提供のTMか、受注者既存のTMかで帰属が異なり、混在させると後からの切り分けが困難です。受注者既存のTMへの発注者の権利主張を防ぐため、契約書で明確化すべきです。

注意すべき表現

  • !『本件業務で作成・使用したTM・用語集を全て発注者に譲渡』
  • !受注者の既存TMまで本件業務で使用すると発注者資産化
  • !業界一般の用語・定訳まで発注者独自の資産として扱われる

望ましい表現例

本件業務で使用する翻訳メモリ・用語集は以下のように取り扱う:(1)発注者提供分は発注者の資産、(2)受注者既存分は受注者の資産、(3)本件業務で新規追加したエントリは発注者のコピーとして引き渡し、受注者も自身の記録として保持する。業界一般の用語・公知の定訳は、いずれの独占対象にもならない。
5

字幕翻訳・ローカライゼーションの特殊事項(文字数制限・タイムコード)

字幕翻訳は『字数制限』『読み速度制限』『タイムコード同期』など制約が多く、通常翻訳より工数が数倍かかります。通常翻訳と同じ単価で字幕案件を受けると大幅な赤字になります。また『字幕スポッティング』作業の含まれ範囲、ゲームローカライゼーションでの『変数を含む文字列』の扱いも明示が必要です。

注意すべき表現

  • !字幕翻訳なのに通常翻訳と同じ文字単価が適用される
  • !スポッティング(タイミング付け)作業の範囲と費用が不明
  • !ゲームローカライゼーションで変数・分岐テキストの扱いが未規定

望ましい表現例

字幕翻訳の単価は、原文1分あたり金○円(文字単価ではなく映像尺ベース)とする。スポッティング(タイムコード調整)は本件業務に含み、字幕フォーマットはSRT・VTTで納品する。ゲームローカライゼーションの場合、変数埋込テキスト(例:{player_name})・分岐テキストは原文1行あたり金○円とし、文字列コンテキストを発注者が提供する。

よくある失敗

1

『機械翻訳ポストエディット』を通常翻訳と同じ感覚で受注し、工数と単価が見合わない

2

受注者既存の翻訳メモリ・用語集が発注者資産として扱われる条項を見落とす

3

出版翻訳で買い取り型の著作権全譲渡にサインし、増刷時の印税が得られない

業界特有の事情

翻訳業界は、2020年代以降のAI翻訳技術の急激な進化により、契約慣行の見直しが進んでいます。DeepL・ChatGPT・Claude等の登場でポストエディット案件が主流化する一方、単価下落と品質責任の不公平が大きな論点です。日本翻訳連盟(JTF)も2024年にAI活用時の契約ガイドラインを更新しました。著作権法上、翻訳文は『二次的著作物』として独自の著作権を持つため(第11条)、譲渡範囲の交渉余地があります。また出版翻訳では日本文藝家協会の標準契約書があり、『原稿料買い取り型』と『印税型』の違いを理解した契約が重要です。2024年11月施行のフリーランス新法により、書面交付義務・60日以内の支払・買いたたき禁止が課され、翻訳者が単価や条件を交渉しやすくなりました。

契約書チェックリスト

契約書を確認する際に、以下の項目をチェックしましょう。

翻訳者業務委託契約書を今すぐAIでチェック

契約書を貼り付けるだけで、不利な条項・曖昧表現・抜け漏れをAIが30秒で指摘します。

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よくある質問

機械翻訳+ポストエディットの案件で、通常翻訳と同じ単価を提示されています。

工数と単価が見合っていない可能性があります。業界では通常翻訳の50〜70%程度がポストエディット単価の目安とされる一方、機械翻訳の質が低い案件では結局一から訳し直す工数が発生します。『機械翻訳のベース品質』を確認した上で単価交渉するのが重要です。品質が悪い場合は『ポストエディット料金では受けられない』と通常翻訳単価を主張する根拠になります。

翻訳メモリは発注者の資産ですか、自分の資産ですか?

発注者が提供したTMは発注者の資産、受注者が自身で蓄積したTMは受注者の資産です。本件業務で新規追加したエントリは業界慣習上『双方が保持可』が一般的です。契約書に明記がないと、発注者側から『本件業務で生じた全データは発注者資産』と主張される恐れがあるため、事前に明確化しておきましょう。

翻訳文の著作権を全部譲渡してよいですか?

翻訳文は二次的著作物として独自の著作権を持ちます(著作権法第11条)。『全譲渡』にサインしても法的には有効ですが、出版翻訳の場合は買い取り型より印税型のほうが翻訳者に有利です。産業翻訳では譲渡が業界慣習化していますが、自分の訳文を事例としてポートフォリオ公開する権利は留保できるよう交渉しましょう。

納品した翻訳に『誤訳』と指摘されましたが、訳語選択の問題だと思います。

契約書の品質基準条項を確認してください。『誤訳』と『訳の選択の差異』は別問題です。『意味の正確な伝達、自然な日本語表現』という基準であれば、スタイル・訳語選択は受注者の裁量内とされるのが通常です。事前にスタイルガイド・用語集を共有していれば、それに準拠していれば問題ありません。無償修正に応じるかは明確な誤り(数値の誤訳・事実関係の取り違え等)に限定すべきです。

ChatGPTを補助的に使って翻訳することは問題ないですか?

契約書でAI使用の可否を確認し、明記されていなければ事前に発注者に開示するのが安全です。近年は『AI不使用』を条件とする発注者も増えています(特に機密性の高い文書)。また、業務利用可能なプラン(ChatGPT Team・Enterprise・Claude for Work等)を使い、入力データのAI学習除外設定を行うことが最低限の実務です。契約書に『AI使用の可否』『使用時の開示義務』を明記してもらうと双方のリスク管理ができます。