フリーランス新法

フリーランス新法(2024施行)で変わった契約書の書き方

CClauseLens
10分

本記事はAIによる一次チェックの観点から書いており、個別の法的助言は弁護士にご相談ください。

2024年11月1日、フリーランス新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が施行されました。フリーランスの取引環境の適正化を目的に、発注事業者に対して取引条件の明示義務報酬支払期日などさまざまな義務が課される内容で、契約書・発注書の運用に直接影響する法律です。

本記事では、フリーランス新法の主な改正ポイントと、契約書・発注書の書き方がどう変わったのかを整理します。受注側(フリーランス)にとっては権利の確認、発注側にとってはコンプライアンス対応の観点からご活用ください。

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結論:契約書で押さえるべき5つの変更点

| # | 項目 | 改正内容 | |---|------|---------| | 1 | 取引条件の明示 | 書面/電磁的方法で必須 | | 2 | 報酬支払期日 | 成果物受領後60日以内 | | 3 | 禁止行為 | 受領拒否・減額・返品等 | | 4 | ハラスメント防止 | 相談体制整備義務 | | 5 | 育児・介護配慮 | 6ヶ月超契約で配慮義務 |


フリーランス新法とは

位置付け

フリーランス新法は、

  • 下請法(下請代金支払遅延等防止法)の保護範囲
  • 労働関係法令

間に落ちていた領域——つまり、従業員ではなく、下請法の資本金要件にも該当しない取引関係——を補完する目的で制定されました。**個人として役務を提供する「特定受託事業者」**が法の保護対象となり、発注側は規模や業種を問わず一定の義務を負います。

対象となる取引

  • 特定受託事業者: 従業員を使用しない個人、または代表者のみの法人
  • 特定業務委託事業者: 従業員を使用する事業者(法人・個人)で、特定受託事業者に業務委託する者

大企業だけでなく個人事業主同士の取引でも、発注側に従業員がいれば一部義務が発生する点が特徴です。

所管と執行

公正取引委員会および中小企業庁が執行を所管し、報告徴収・立入検査勧告・命令、さらに公表罰金(50万円以下)といった行政措置が規定されています。


変更点1:取引条件の明示義務(第3条)

明示が必要な事項

発注事業者は、業務委託をした場合、直ちに特定受託事業者に対して以下の事項を書面または電磁的方法で明示することが義務付けられました。

  1. 業務の内容
  2. 報酬の額
  3. 支払期日
  4. その他厚生労働省令で定める事項(給付の受領方法、給付の内容、検査完了期日など)

「直ちに」という文言は、発注と同時かそれに近いタイミングを意味すると解されています。口頭発注後に契約書を数週間後に送付する、といった実務は法の趣旨と整合しない可能性があります。

電磁的方法の例

  • メール
  • クラウドサイン・DocuSignなどの電子契約
  • Slack・Chatworkなどのチャットツール(ログが残る前提)
  • 発注システム上の発注書

紙の契約書に限定されないため、チャットでの発注でも要件を満たし得るのがポイントです。ただし事後のトラブル時の証拠性を考えると、電子契約サービスまたは正式な書面発注が無難でしょう。

違反時の措置

明示義務違反は勧告・命令の対象となり、命令違反には50万円以下の罰金が科される可能性があります。さらに企業名の公表もあり得るため、レピュテーションリスクが大きい条文です。

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変更点2:報酬支払期日(第4条)

60日以内の支払ルール

特定業務委託事業者は、給付を受領した日から起算して60日以内かつできる限り短い期間内で支払期日を定め、実際に支払う義務を負います。

これは下請法と同様の枠組みで、

  • 検収が遅れても支払期日は進行(受領基準)
  • 「検収後30日」方式で実質100日超の支払は違反の可能性

という運用を求めています。つまり、「検収を遅らせて支払を先延ばしにする」という交渉力を背景にした慣行は、法的に是正の対象となり得ます。

再委託の場合の特則

特定業務委託事業者が自らは元請から再委託されている立場の場合、

  • 元請からの受領後30日以内の支払期日を定めることが可能
  • ただし、この場合は再委託であることを発注時に明示する必要

という特則があります。いわゆるエージェント経由のSES案件などで該当するケースがあります。


変更点3:禁止行為(第5条)

1ヶ月以上の業務委託について、以下の行為が明文で禁止されました。下請法と類似の構成です。

7つの禁止行為

  1. 受領拒否: 特定受託事業者に責任なく、成果物の受領を拒否
  2. 報酬減額: 特定受託事業者に責任なく、あらかじめ定めた報酬を減額
  3. 返品: 特定受託事業者に責任なく、成果物を返品
  4. 買いたたき: 通常の対価より著しく低い報酬を不当に定める
  5. 購入・利用強制: 正当な理由なく、自社商品・サービスの購入・利用を強制
  6. 経済上の利益の提供要請: 自己のために金銭・役務等の提供を要請
  7. 不当な給付内容の変更・やり直し: 特定受託事業者の責任なく、内容変更・やり直しをさせる

「買いたたき」の判断

「通常の対価」の算定は業界相場、過去の取引実績、地域性などから判断されます。特にフリーランスの交渉力が弱い案件での単価引き下げは、買いたたきに該当するリスクがあります。

「不当な変更・やり直し」

ライター・デザイナーの業界で議論になりやすい論点です。契約書に修正回数の上限や追加報酬ルールが明記されていない場合、発注者の都合による度重なる修正が禁止行為と評価される可能性があります。ライター向けの観点はライターの業務委託契約書|原稿料と著作権をめぐる落とし穴も参照ください。


変更点4:ハラスメント防止措置(第14条)

特定業務委託事業者は、特定受託業務従事者(特定受託事業者本人や、業務に従事する者)に対するハラスメントを防止する措置を講じる義務を負います。

具体的な措置

  • 事業主の方針の明確化周知・啓発
  • 相談窓口の設置
  • ハラスメント発生時の迅速・適切な対応
  • 相談者への不利益取扱いの禁止

大企業の労務管理と類似の枠組みですが、外部のフリーランスも対象となった点が画期的です。


変更点5:育児・介護等との両立への配慮(第13条)

6ヶ月以上の業務委託については、発注事業者は特定受託事業者の申出に応じて、育児・介護等と両立して業務を行えるよう必要な配慮を講じる義務を負います。

配慮の例

  • 稼働時間の柔軟化(オンラインMTG時間の調整等)
  • 一時的な業務量の調整
  • 代替要員との連携

これは努力義務的な色彩もあるものの、申出を無視した場合に勧告対象となる可能性があります。


契約書・発注書への実務影響

契約書本体に書くべきこと

  • 支払期日の明示(例:「甲は、給付受領の日から起算して60日以内に支払う」)
  • 検収の位置付け(検収遅延が支払期日を遅らせない旨)
  • 修正・やり直しのルール(回数上限と追加報酬)
  • ハラスメント防止措置への言及または別規程の参照
  • 解除予告期間(特に6ヶ月超契約)

発注書(個別発注)に書くべきこと

  • 業務内容の具体化
  • 報酬額
  • 支払期日
  • 給付の受領方法・期日
  • 検査完了期日

フリーランス新法は契約書と発注書の2層構造を前提とした運用との相性がよく、基本契約書で枠組みを定め、個別発注書で案件ごとの条件を明示する、という運用が推奨されます。

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実例:フリーランス新法適合の発注書ドラフト

株式会社サンプル(架空)がフリーランスエンジニアHさんに業務を発注する場合の発注書例:

発注書

  • 発注日:2026年4月17日
  • 業務内容:株式会社サンプルが指定するWebアプリケーションのフロントエンド実装(詳細別紙)
  • 報酬額:月額70万円(税別)
  • 支払期日:甲が成果物を受領した日から起算して30日以内の月末締め翌月末払い
  • 受領方法:GitHub Pull Requestのマージをもって受領
  • 検査完了期日:受領後10営業日以内
  • 契約期間:2026年5月1日〜2026年10月31日(6ヶ月)
  • 育児・介護等の配慮:乙からの申出に基づき協議のうえ対応
  • ハラスメント相談窓口:甲内部窓口 compliance@sample.co.jp

これくらいの粒度で書かれていれば、明示義務は一通り満たしていると考えられます。


まとめ

フリーランス新法の施行で、契約書・発注書の運用は以下の点が重要になりました。

  1. 取引条件の明示を書面または電磁的方法で必ず行う
  2. 報酬支払期日を60日以内に設定し、検収遅延で先送りしない
  3. 7つの禁止行為(受領拒否・減額・買いたたき等)に抵触しない
  4. ハラスメント防止措置の体制整備
  5. 育児・介護等への配慮(6ヶ月超契約)

受注側のフリーランスは、発注書・契約書がこれらを満たしているかを確認し、満たしていない場合は修正を求める交渉が法的に後押しされる立場になっています。発注側は、コンプライアンス違反のリスク管理として契約書ドラフトの見直しが急務です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 1回だけの単発発注もフリーランス新法の対象ですか?

取引条件の明示義務(第3条)や報酬支払期日(第4条)は、業務委託であれば1回の発注でも適用対象となります。一方、禁止行為(第5条)は1ヶ月以上の業務委託が対象です。

Q2. 個人事業主同士の取引も対象ですか?

発注側に従業員がいる場合は「特定業務委託事業者」として義務を負います。従業員ゼロの個人事業主同士の取引は、義務の一部(明示義務等)のみ適用される構成です。

Q3. 口頭やLINEでの発注は違反になりますか?

電磁的方法による明示は認められているため、LINE・チャットでも記録が残る形であれば形式的には要件を満たす可能性があります。ただし、業務内容・報酬・支払期日などの必要事項が明示されているかを確認する必要があり、事後のトラブル防止のためにも正式な発注書を推奨します。

Q4. 違反した場合のペナルティはどの程度ですか?

行政による勧告・命令が先行し、命令違反で50万円以下の罰金が規定されています。加えて事業者名の公表もあり得るため、レピュテーションリスクも無視できません。

Q5. ClauseLensはフリーランス新法対応チェックに使えますか?

フリーランス新法に即した必須項目のチェック(支払期日の明示、禁止行為に抵触する条項の有無等)が可能です。詳しくはAIが契約書を読むと何が分かるのか?もご覧ください。


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ClauseLens編集部

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フリーランス新法特定受託事業者契約書報酬支払期日法改正

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